品川OLの腰掛日記

彼氏のことや仕事のことなど

不安(転職と入籍)

たまに出所不明の不安に駆られることがある。

先日転職活動をしていたときには全く考えなかったのだが、一般的に、人は困ったら実家に頼るという手段を取りがちだ。「実家に帰る」。なんて素敵な言葉だろうか。僕には帰る家がある、という大前提のもとに人々は生きている。故郷。見知った人たち。家族。家族!!なんて甘美な響きだろう。そこに僕が手に入れられなかったすべてがあるような気がしてならない。親や父方の祖父母との埋めがたい溝に関して長々と語るつもりは一切ない。自分の性別を一生恨みながら生きるしかないのであれば、ああいう類の人間とは金輪際関わらないつもりだ。しかし人生はドラマチック。僕が幼少期からあれほど死んでほしいと願い続けた父方の祖父母が重篤な病にかかっているらしい。祖父は心臓病で先月手術。祖母は重度の認知症を患い、叔父まで甲状腺系の病気(メニエル病だかなんだか)に罹った。極めつけに父は今週開頭手術を受ける予定になっている。世の中はわからない。これで母親に何かあれば、私が祈りをささげてきたことももしかしたら無駄ではなかったのかもしれない。

僕はもう両親や父方の祖父母を恨んでいない。恨んでいないといったらウソになるかもしれないが、別に仕返しとか嫌がらせとかは考えていない。本当にもう関わりたくないという強い気持ちだけがある。関わっていいことなんて絶対にないからだ。母親からたまに送られてくるクソみたいなLINEを無限に無視し、事務的な要件のみ返信する。そのレベル以上の関わりは持ちたくない。これはもう痛みに近いレベルの話だ。僕には僕を守る義務があり、そのために僕を傷つける人たちから離れる。

世間的に見て、僕は僕の価値があまりないのを知っている。優秀なエンジニアでも医者でも官僚でもない僕は、非常にどうでもいい人間であり、だからこそ、この人生を有意義なものにすることは非常に困難だ。話は逸れるけど、僕の周りには優秀な人が多い。IT系か医者か官僚か研究者の友人ばかりだ。何故かは不明。周囲にいる具体的な何かになった友人たち、そして、その一方で、何者でもない自分。自らの存在の小ささに気が付いた時、人は神を崇めたり国家等の大きな組織に貢献したりしようとするのではないだろうか。たとえそれが夢幻の類だと、心のどこかで気が付いていても。

そういえば彼氏と喧嘩をした。私はできるだけ彼氏の話はブログで書かないようにしているけど、それは彼氏とあんまり会話をしないし、彼氏の考えていることはわからないからだし、彼氏は私がこうやって彼氏のことをブログに書くのを嫌がるからだ。僕は彼氏が価値のある人間だと思ってる。初対面で「この青年には見どころがある」と思った。

僕は上記の通り実家という後ろ盾を持たない人間だ。だから今の会社でたくさんの問題があり、ついに出社できなくなったときも、当然ながら実家を頼るという選択肢は思い浮かばなかった(母親に会社つらいと言っても耐えろと言われるだけだし、たぶん無限に説教され、鬱が悪化するだけなのが目に見えていた)。メンヘラのわが身を叱咤激励し転職エージェントに相談に行き、結果としてほぼ奇跡的に、良い条件で転職できた。だから彼氏に「本当にその会社に行く気?」と言われたときはわが耳を疑ったし、えっちょ待てよ、となった。彼氏が疑問に思ったことは、つまり、私が以前、転職するのであればスキルアップのために転職したい、と発言していたが、次の職場はスキルアップできるタイプの職場ではないように思える。本当にその職場でいいのか?という内容だった。ごく全うな意見である。

しかし、これは圧倒的強者の意見だ。価値のない人間である僕が、もし精神的余裕があったうえでスキルアップのための転職をしているならともかく、メンがヘラったために転職するのに、スキルアップのための転職などできるわけがない。もちろんそういった仕事も見てみたし、実のところWEB企業もいくつか見てみた。そしてあまりの自分の価値のなさに愕然とし、すごすごと引き返したのである。ハッキリ、お前に価値がない、ということをWEBから突き付けられた。僕はそう感じたし、その通りなんだと思う。悲しいし、残念だし、認めたくないけれど、それが現実。僕は使えない人間、不要な人材。死にてー。

上記のような状態で、彼氏ができる唯一のこと、それは入籍なんじゃないかと僕は思った。1日3回、結婚して俺を養ってくれ、ほんの数か月でいい、転職期間だけでいいから、俺の社会的面倒を見てくれないか、と問いかけた。もちろん彼氏はNOと言い続けた。言い続けるなよ。一万一回目は何か変わるかもしれないと思ったけど現実じゃなかなか厳しい。

だから、彼氏に「その転職どうなの」って言われたときはすごくショックだったし、お前何言ってんだと思った。私には選択肢がない。金もなければ身内もいない。そんなこと、一番身近なキミが一番よくわかってるはずだろ。それを、手助けするわけでもなく、なんなら「無職の面倒は見れない」と切って捨てる発言をしていたキミがよく言えたな?

「文句を言うなら入籍してくれ」私は牛タン屋で泣きながらそう訴えた。

彼女の転職について文句を言っていいのは、入籍する覚悟のある奴だけだ。